ライバーはライバルではなく同志。 “Pocochaの母”Sayoがライブ配信で花開くまで | I'm the Liver 〜私が歩む"Live Link Life"〜 Vol.1
現在Pocochaで活躍されているライバーのみなさんは、今までどんなストーリーを辿って来られたのでしょうか?そして、ライブ配信を楽しみ、自分らしく輝くためにはどんな秘訣があるのでしょうか?ライバーのみなさんそれぞれの「Live Link Life」をうかがうインタビュー連載『I'm the Liver 〜私が歩む"Live Link Life"〜』をはじめます。
Vol.1となる今回は、Sayoさんにインタビューさせていただきました。Sayoさんは、2018年12月にPocochaのライバーとして活動を始めて以来、一気に人気を集め、Pococha最大規模のオフラインイベント「POCO LAND Easter」では見事優勝、その後もイベントで入賞を重ねられています。
沖縄でラジオパーソナリティとして勤務するかたわらライバーとして活動するSayoさんは、他ライバーからの相談に乗るなど周囲のライバー・リスナーから“Pocochaの母”と呼ばれるほど頼りにされる存在でもあります。また、ライバー・リスナー問わずユーザーがPocochaを楽しめるよう、SNSや配信を通じて自身の想いや考えを発信していらっしゃいます。Sayoさんを動かしているものは何なのか、ライブ配信に対する考え方をうかがいました。
満たされない日々から一転、トップライバーに
―Sayoさんは、ラジオのパーソナリティをしながらライブ配信もされているんですよね。配信を始める前は、ずっとラジオのお仕事をされていたんですか?
Sayo:実は、キャリアを転々としてたどり着いたのがラジオだったんです。大学は中国語学科を卒業し、北京留学からの帰国後は中国語を使う様々な仕事を経験しました。中国語のコールセンター、中国系航空会社、フリーランスの翻訳・通訳者、中国語教室…。収入は安定していましたが逆にそれがつまらなく感じ、30代になってから友人の誘いを受けて起業、ウェブメディアを運営する会社を経営しました。会社は想定以上に順調に成長したんです。多くのユーザーに支持され、感謝され、高評価を得ていました。でも、どこか満たされない気持ちがありました。
―ええ、そうだったんですか。
Sayo:その証拠に、起業から5年経ったある日ビジネスパートナーに突然「会社を解散しよう」と言われたんです。私が仕事そのものを愛せていないことを彼女は見抜いていたんですね。急な言い渡しに驚きとショックで号泣しましたが、明日からその仕事をしないで済むのだと想像すると、ドサっと音を立てて肩から荷がおりるのを感じました。
友人は最後にこう言ってくれました。「あんたには根性がある。自分が興味のない分野でもここまで継続して成果をあげられたんだから、自分の好きな分野ならすぐに結果を出せるはず」と。別れ話のような辛いやり取りの中で、はなむけのような嬉しい言葉でした。そのやりとりの翌日にはラジオ局にアポをとり、翌週には企画書を持参、翌月からレギュラー番組がスタートしました。
―もともとラジオに興味があったんですか?
Sayo:いいえ、最初に目指したのは司会業でした。沖縄では結婚式の司会でかなり稼げることを知っていたし、自分なら上手くやれると思ったんです。でも司会の依頼をもらうには知名度を上げる必要がある。そのために選んだのがラジオでした。始めてみるとラジオの奥深さの虜になり、司会業より夢中になって今に至ります。ただ、ラジオだけでは生活できないので会社経営時のクライアントから来るライター・編集系の仕事の依頼も引き受け、前職と完全には手を切れないでいました。
そんな中、たまたま台湾発のライブ配信アプリが深夜番組で取り上げられていたのを見たんです。台湾のユーザーが多い中、日本人ライバーも片言の中国語をしゃべっている。それを見て「私の方が上手くできるはず!」と思いその場でアプリをダウンロード、翌日から配信を始めました。それが2018年の12月。ちょうど2年半ほど前ですね。
――配信を始めて、反応はいかがでしたか。
Sayo:そのアプリで配信をしていた丸一年はずっと鳴かず飛ばずでした(笑)。私の配信を通じて台湾人ユーザーと日本人ユーザーが仲良くなれたらいいなと思い中国語・日本語講座を配信していたんですが、中国語をしゃべれば日本人リスナーはいなくなり、日本語を話し始めると台湾人リスナーがいなくなる。リスナー数だけトップライバーと笑われていました(笑)。
――もどかしいですね。心が折れそうにはなりませんでしたか。
Sayo:全くないですね。イベントに出たいとか入賞したいという欲求もなく、ただただ仲良しのリスナーさんやライバーさんと楽しく交流していました。それに自分はやるべきことをやっているし配信の方向性も質も悪くないという自負があったので、そのうち結果がついてくるんだろうな、楽しみだなと、むしろルンルン気分でいました(笑)。
――最初の配信アプリからPocochaに移行したのは、どのような経緯だったんですか。
Sayo:私の配信を気に入ってくれていた女性トップライバーさんが、「Pocochaというアプリに移るんだけどSayoさんも一緒に移らない?」と誘ってくれたのがきっかけです。私は不満もなく楽しくやっていたので離れがたい気持ちはありましたが、新たなことを始めるのは大好きだったので即OKしました。
ライバーは自由、しかし責任が伴う
―いまやPocochaのトップライバーなわけですが、そこに至るまではどうでしたか。
Sayo:しっかりしたライバー事務所に入ったことも影響し、Pocochaに移った初月から成果が出て、その後も前月の倍、翌月はまたさらに倍…と順調でした。更には2019年5月に開催された「POCO LAND Easter 」(Pococha最大のオフラインイベント)でまさかの優勝をしてしまい……。実力が伴っていなかったので周囲はもちろん私も戸惑いましたし、優勝後に実力の底上げが必要だったので気は抜けませんでしたが、沢山のリスナーさんに支えていただいて今があります。 その頃には前職関連の仕事を引き受けることをやめ、ラジオとライブ配信だけに集中できるようになりました。
―ご自身のどのような魅力がリスナーに響いたと思いますか。
Sayo:最近特に感じているのは、周りより歳を食っててよかった、アラフォーで良かったということですね(笑)。ライバーの多くは10〜30代前半。でも、リスナーさんは30〜50代がメインボリュームな気がするんです。若くて可愛いライバーさんの成長を応援する楽しみとは違い、話も気も合う同世代の女友達のように見てもらって応援してもらえているのかもなぁと想像しています。
―同世代だからこそできる話もありそうですね。
Sayo:そうですね。たとえば、私は母をガンで亡くしているし、脳梗塞の後遺症を患う父の生活を手伝っています。なので親の病気や介護、死去の話もできるし、そもそも年齢や経歴的に受験や就職、転職、退職…といったさまざまな人生のフェーズに、自分の経験をもとに寄り添うことができると思っています。
心が通い合う瞬間のために
―実体験をもとにお話してくれるのは心強いですね。同世代はもちろん、年下の人の相談にも乗れますし。
Sayo:「Sayoさんのtwitter見たんですけど……」の切り口からお悩み相談に来るライバーさんは少なくないですね(笑)。みんな若くてかわいくて一生懸命で、勝手に自分の娘かのような気持ちになるんです。歳が上なぶん経験も重ねているので、問題が起きた時の視点の変え方や具体的な対処法など、あくまで自分のやり方・考え方ではありますがお伝えしています。それで若いライバーさん達が心からライブ配信を楽しめたら良いなと……。
また、私にとって他のライバーさんはライバルではなく同士・同僚のような存在だと考えています。まだ知名度が高いとは言えないライブ配信というコミュニケーションのカタチに興味を持ち、アプリを入れ、実際に配信し、向上しようと努力を続けている……。年代こそ違えど私にとっては同じ分野で奮闘している貴重な仲間なんです。せっかく同じ時代に同じアプリで出会えたのだから辞めないでほしい。できるなら長く一緒にがんばりたい。そのために私ができることがあれば喜んで、と思っています。
―ライバーさんには、リスナーさんとの関係性も含め、悩む場面も少なくないかもしれません。
Sayo:リスナーさんやアシスタントさんとの人間関係に悩む話はあるあるですね。何かあった時に「自分が我慢すれば済む」と考えるライバーさんは多くて。でも、ライバーが楽しめていなければリスナーさんも配信を楽しめない。自分のためにではなくリスナーさんのために決断・対処すべき場面は多々あります。
ライブ配信って基本的に自由ですよね。ルールを守った上でライバーがやりたいようにやって良い。誰の指図を受ける必要もない。でも、自由には必ず責任が伴うんです。だから配信の方向性やこだわりは自分でしっかり定め、毅然と対応していかなければならない。とはいえ、それは何も大変なことではありません。普段から配信やファミリーで自分のスタンスをきちんと表明しておく。すると、それに賛同できるリスナーさんが残るし、集まる。必然的にリスナーさん同士も仲良くなりやすく、ファミリーの絆も強くなります。
―なんだかお話を聞いていると、今までのキャリアのときとはまるで違って、すごく生き生きした感じを受けます。
Sayo:そうですね。今の私は以前と比べ満たされていると感じます。
―それはどうしてでしょう。
Sayo:なんだかクサい表現で気恥ずかしいのですが、これまではどんな仕事をしていても「羽があるのに飛ばせてもらえていない」という感覚がありました。私にはいろんな能力があるのになぜその力を発揮できない場所にいるんだろうって。でも、それが具体的にどういう能力か問われると答えられない。ただ鳥かごの中に閉じ込められているような虚ろな気持ちで20代、30代前半を過ごしました。仕事でどれだけ評価されても稼いでも、虚ろな感覚は消えなかったんです。
でもライブ配信に出会ってその原因がはっきりとわかりました。私が望みながらもこれまでのキャリアで実現できていなかったのは「自己表現」だったんです。
―たしかに、これまで経験されたのは自分を表現する仕事とは違うかもしれませんね。
Sayo:ありがたいことに今はラジオもライブ配信も自分が好きなようにやらせてもらっていて、やっと鳥かごから出られたような気分です。自分の能力を好きな方向に発揮して楽しく自由に自己表現をし、その結果リスナーさんから応援していただけるなんて夢みたいな話です。
―自己表現をできる場は、他にもさまざまな手段やプラットフォームがありますよね。その中でもあえてライブ配信に力を入れる理由はどこにありますか。
Sayo:これだけ不特定多数の人たちとリアルタイムに深くコミュニケーションをとれることの喜びだと思います。いろんな地域の、いろんな年齢の、いろんな価値観をもった人の話を聞き、こちらも自分のことを話し、それによって互いの心の距離が縮んだり応援してもらえたり感謝したり感動が生まれたり…。そういう一瞬一瞬が宝物のように輝いていて、尊く、愛おしい。私はその瞬間を味わうためにライブ配信をやっていると断言できます。
そうやって生まれた絆に、今では実生活さえも支えられています。スーパーで買い物をしながら、キッチンで夕飯を作りながら、シャワーを浴びながら…割といつでもライブ配信やリスナーさんのことを考えています(笑)。私がリスナーさんから与えてもらっている影響はとても大きいです。
―双方向のコミュニケーションはたしかにライブ配信ならではですね。Pocochaのコンセプトに「Live Link Life」というものがありますが、Sayoさんにとっての「Live Link Life」とは?
Sayo:ライブ配信はまだ見ぬ仲間たちと私をつないでくれるものです。こんなにも気が合い、同じ時間を楽しめる人たちがいるのは嬉しい驚きでした。ライブ配信は今後一層盛り上がっていくしユーザーも増えていくはず。その中にはきっと未来の私のリスナーさんが含まれています。まだ見ぬリスナーさんや既に出会っているリスナーさんと絆を深めていくプロセスを慈しみたいから、これからもライブ配信を続けていきます。
※肖像権の関係上、Sayoさん以外の方のお写真にはスタンプを押させていただいております。スタンプの種類はランダムとなります。
『I'm the Liver 〜私が歩む"Live Link Life"〜』は今後不定期で連載予定です。ぜひご意見・ご感想をお聞かせください。